2011年06月07日

あぱぱ踊り

町田康著「浄土」短編集の中の一編、「あぱぱ踊り」が非常に面白かった。
といっても大笑いできる類いの作品とは違っており、ナンセンスの体裁を持っていながら、リアルで物悲しく、そして何とも感慨深い作品なのである。

もっとも、私の中での名作認定に至った理由は作品の素晴らしさだけでなく、私自身の日常とリンクしている部分を少なからず感じてしまっているからに違いない。
本や映画、音楽にしても、出会いのタイミングってのはとても重要だと思う。
また、バッチリのタイミングで現れる作品も珍しくないのが不思議なところだ。
ちょうど今自分が考えている事が、この本の中に描かれている・・・なーんてことが頻繁に起るもんだから面白い。
ネーバーエンディングストーリーの主人公であるバスチアン少年が、読んでいる書物の中に自分が登場していることに驚くというファンタジーがあったが、それを思い出してしまうな。

「あぱぱ踊り」
うらぶれた町中を主人公は1人彷徨している。細い路地を歩いていると前方から1人の男が歩いてくる。傍らには踊りながら男を褒め讃え続ける不細工な女2人を引き連れている。
この出会いから主人公と謎の男は話し始める。
その男は主人公に「自分は偉大な人物である」と言い出すのである。
男は、彼に心酔する女を2人引き連れているという奇妙なところがあるものの、主人公からの「あなたのいったい何処が偉大なのか?」と言う質問には一切具体的な答えを述べようとはしない。「私の存在自体が偉大なのだ!」と。「その偉大さに気づけないおまえがいけない」と。
訝しく思いながらも男の偉大さを証明させるため主人公は奇妙なこの3人組に同行することにする。
結局、男の偉大さは証明されず、主人公はこの男が現実に目を背け、妄想の中に逃げ込み凡庸な自分から目を背ける為だけに屁理屈を並べているに過ぎない事に気づく。彼を褒めそやすのは屁理屈に洗脳された馬鹿女2人だけなのだ。
主人公がその事に言及しても、すべてを現実のせいにして男は妄想の世界に逃げ込もうとするだけだ。
現実から目を背け続けてきた為、あまりにも無知だった男は、ラストその無知によって身を滅ぼしてしまうのである。

なんとも悲しいお話である。しかしとてもリアルであると感じた。
真にポジティブであることと、理由無く自分を正当化する事とは、表面的に似ているようで実は真逆の事であるのだと思う。(ここで言う「理由」とは客観的に納得され得る根拠でなければならない。自分を納得させるだけの理由では駄目だ。)

しかし昨今、安易に自分を正当化する幼い人が多いなぁとも感じている。
独りで考え過ぎたり、ネットでのコミュニケーションに慰めを見いだす人が増えているのも原因の1つかも知れない。

人は誰でも自分に能力があると思いたい。けれども、その裏付けを得るためには努力するべきだ。ポジティブに考える事は大切であるし、努力を伴ったポジティブでありたいと私は思う。
恥ずかしながら私自身、理由なく褒めてほしい衝動にかられることが多々ある。(自信を無くして落ち込んでいる時なんかは特にね・・・)
しかし、シビアな私の細君は、理由無しには褒めてはくれない。(実際、自信をなくしている時に厳しくされると泣きそうになっちゃうのだが・・・)
油断すると自分に甘くなり過ぎる私にとって妻は大切な存在だ。
だから、めっちゃ感謝しとります。

ポジティブのために行う努力なくして成長なし!

よっしゃ頑張ろう!!
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気を引き締めていかないと、あぱぱ野郎になってまうど!
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しかし、「厚顔無知」とは上手い事言うな。
大概において自分を正当化しようとする無知な人達は決まって厚かましく偉そうな事が多い。

同じ無知であっても、せめて厚かましくない無知でありたいとぞ思ふ。
posted by ito at 14:38| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書日記
この記事へのコメント
Felix Salmon is wrong about weighted density going down. If the rich people condo anecdote were true, that would make actual population density fall in addition to weighted population density. What’s happening is that low-density areas are adding population faster than high-density areas.
Posted by ray ban sale usa at 2013年08月11日 11:46
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